Osumi

2024年4月5日

子宮脱のモルモット

ご来院された動物さん

モルモット
2歳 メス

ご来院の理由

「血尿が出ている」

病院で見られた症状:

  • 陰部出血
  • 子宮脱()
Osumi

来院時は「血尿」が主訴でしたが、陰部を観察すると赤い病変が見られました。子宮が腫大、または圧がかかり陰部から飛び出してしまっています。
子宮脱は、モルモットでも出産後に見られることがあるため、まずは妊娠や出産がなかったかを確認します。

しかし、このモルモットさんは発情をした可能性はあっても出産は無いとしていて、別の病気が原因となっている可能性が高いと考えられました。

生殖器の疾患として、卵巣・子宮腫瘍、子宮蓄膿症(子宮の感染により膿がたまる)、子宮内膜炎などがありますが、いずれの疾患でもモルモットの状態を考慮した上で外科手術による生殖器摘出が理想的です。

外科手術による、子宮摘出を実施しました。

子宮粘膜は一部腫れていました。子宮内には出血による血餅が大量に溜まっていました。血餅による圧で子宮がとび出てしまったようです。

Osumi

摘出した腫瘍を病理検査に提出したところ、「子宮内膜炎」という結果が返ってきました。
出血も多く強い炎症だったため、病態が悪化する前に手術を終えることができて良かったです。

子宮を摘出した後は、血尿もないため腎臓や膀胱の疾患は疑われませんでした。 傷も順調に回復して、通常の生活に戻っています。

Osumi

血尿も傷も無くなりすっかり通常の生活に。

モルモットの尿は正常でも黄色~やや赤色に見えることがあり、目視では血尿かどうか曖昧なこともあります。正確な判断には、尿検査紙や顕微鏡を用いた検査が必要なので、疑わしい場合は採尿しましょう。
ご自宅での採尿が難しい場合は、病院でカテーテルを用いて行うか、膀胱を細い針で刺して吸引(膀胱穿刺)します。

今回の症例は子宮の病気でしたが、尿石症や膀胱炎など泌尿器の病気でも血尿は生じます。

色がいつもより赤い、尿量が少ない、排尿痛を感じているかもなど、「異常かな?」と感じたら尿検査を行ってみましょう。