2023年5月15日
歯周病と歯肉増生
ミニチュアダックスフンド
13歳 去勢済み オス
「口か鼻から出血がある」
病院で見られた症状:
- 歯石付着
- 口臭
- 歯肉炎
- 排膿
- くしゃみ
- 右上顎の口唇の赤い腫れ()
- 歯がぐらぐらしている(動揺)
- 強い痛み
歯がぐらぐらしている(動揺)ことから歯槽骨が溶けていることが疑われ、また排膿、口唇の強い炎症、痛みを伴うことから歯周病治療をご提案させて頂きました。
口腔内レントゲンやプロ-ビングを用いて、歯や骨を全体的に検査し状態を把握しました。
その後、歯槽骨の状態、歯周ポケットの深さなどを総合的に見て抜歯手術が必要かを判断しました。
レントゲン及びプロ-ビング検査により重度に歯槽骨が溶解している歯()を今回抜歯しました。
右上顎の犬歯(キバの歯)部分は歯槽骨が重度にとけて、穴が開き、口と鼻がつながっていました(口腔鼻腔瘻といいます)。これもくしゃみや鼻血の大きな原因になります。
スケーリング(歯石除去)を行い綺麗にした上で、腫れた歯肉を切除し病理検査に提出しました。
歯槽骨が溶解していた歯は抜歯して、糸で歯肉を縫合しました。大きな出血は無く、きれいに処置を終えることができました。
「線維増生を伴う重度の慢性化膿性炎症」、つまり長期的に口内炎があることにより歯肉の線維が分厚くコブ状になり一見腫瘍のようにも見えってしまっているということになります。この子の場合は、炎症を抑え線維部分を切除しているのでこれで病変部分の悪化は心配なく、歯周病のケアを行いながら経過を観察していきます。
このように、病理検査に提出することにより腫瘍なのか炎症なのかを調べて今後の治療方針を決めることができるので、病理診断は大切なツールとなります。
左側の口腔も歯周病も進行していましたが、歯科処置を行うことにより疼痛や口臭はかなり改善されました。術後のデンタルケアについてもご説明させていただきますので、似たようなお口のお悩みをお持ちの方は一度ご相談ください。
処置後
処置前