2023年12月2日
ハムスターの毛が薄い
ゴールデンハムスター
9か月齢 オス
「2~3日前から毛が薄い」
病院で見られた症状:
- 頸背部の脱毛
- 腰の斑状の脱毛
元気や食欲はあり、強い痒みも無いが体のいたるところが以前より薄くなってきているということで来院されました。
肉眼的には出血や皮膚のはがれは無い程度の脱毛です。
体表にセロハンテープを当てて、皮膚表面や被毛につく原因を顕微鏡で調べてみました。
また被毛を直接抜いて真菌(カビ)の培養検査を行いました。
顕微鏡では、細長く足の多い寄生虫がたくさん見られました。これはニキビダニと呼ばれる外部寄生虫で皮膚の免疫が不安定になったハムスターの毛穴に住み着き増殖し、脱毛を引き起こします。
痒みは必ずあるわけではなく、二次的に細菌に感染したり別の寄生虫に感染したりすると強まることもあります。
治療は、イベルメクチンという駆虫薬を投与します。
これは、犬猫のノミダニのお薬でよく使う製剤と同じであり、ハムスターの体重に合わせて少なく投与します。
投与方法の報告は、飲み薬の経口投与やスポット剤の滴下など様々ですが、今回はスポット剤で治療してみました。
2週間ごとに2回滴下してみました。
すると、背中も腰もしっかりと発毛し寄生虫を駆虫することができました。
同時に行った真菌の培養検査は陰性だったので、今回は寄生虫が原因で間違いないようです。
免疫力の低下(他の病気や若齢・老齢による)、生活環境の悪化や、環境変化によるストレスが外部寄生虫の感染に関わります。
今回のハムスターさんは、1か月前にご自宅に迎えられたそうです。
今の生活環境はとてもしっかりされていたので、免疫力の低下も感染原因としてあった可能性はあります。
ハムスターの脱毛の原因は外部寄生虫以外にも様々です。
何か皮膚がおかしいな、と感じたら検査してみることがとても大切です。