2024年5月16日
ウサギのよだれ
ウサギ(ホーランドロップ)
2歳 オス
「よだれが多い、食欲が無い」
病院で見られた症状:
- 口角、アゴ下によだれ
- 食欲低下
左右の口角とアゴがよだれで汚れていました。
口の中を肉眼的に診てみると、上下の歯はどちらも斜めに擦りつぶれていて、舌に向かって斜めに尖る下の歯は、舌に突き刺さって傷がついています()。
このように歯冠の過剰伸長により形成された棘状突起により舌や頬が傷ついてしまい、よだれや出血、疼痛で食欲が低下するといった症状が生じることがあります。
今回はウサギさんの性格も考慮して、麻酔下での臼歯切削を実施しました。 麻酔をかけて麻酔処置を行うと、元気食欲を取り戻し、よだれも止まりました。
ウサギの不正咬合は、乾草の摂取不足や柔らかい乾草の偏食、使う歯の偏りによって生じると言われています。
ウサギの歯は生涯伸び続ける常生歯と呼ばれ、上下の歯を擦り合わせることで削り続けています。チモシーの摂取を怠ると歯の擦り合わせが少なくなり不正咬合が生じるため、定期的な歯切りのケアが必要になってしまいます。
治療後食欲が戻ったら、できるだけペレットと乾草以外のおやつを与えるのをやめるようにしましょう。嗜好性の合う乾草を見つけることで、歯切の頻度を減らすことができます。
嗜好性が原因で生じるチモシーの摂取不足は解決が難しく、定期的な口腔内の確認と必要に応じた歯切を行う必要があります。しかしできるだけ不正咬合を防ぐために、おやつの中止や他の乾草を食べるかなど、できる限りの工夫をしてみましょう。