Osumi

2025年8月18日

原因を見つけづらい脱毛したモルモット

ご来院された動物さん

モルモット
1歳 オス

ご来院の理由

「顔の脱毛、一部出血」
「複数飼育していて、同じ症状が出る」

病院で見られた症状:

  • 顔面の脱毛
  • 強い掻痒

Osumi

Osumi

 同居のモルモットさんにも同様の痒み、フケが認められました。

Osumi

皮膚病が認められる同居のモルモットさん

 元気や食欲はありますが、顔面を中心に脱毛が顕著でフケが大量に出ています。
 一番初めに怪しいと感じるのは、外部寄生虫感染症です。強い痒み、集団感染などの要素があるため穿孔ヒゼンダニ(疥癬)などの寄生虫が疑わしい症例です。
 この寄生虫は「穿孔」と名付けられるように、皮膚に穴を掘り深い部分に隠れて存在します。そのため、皮膚検査は皮膚掻破検査と呼ばれる、皮膚を鋭匙でひっかいて削り皮膚の角質まで採材して顕微鏡で観察する検査が理想です。しかしこの検査は、削る際の疼痛が強く動物には負担のある検査でもあるため、すでに皮膚にダメージを受けているモルモットにはあまり積極的には行うことができません。

 今回のモルモットさんにも皮膚掻破検査を試みましたが、脱毛部位が顔面であり検査に対する抵抗も強く少し削ろうとしたら大暴れでした。モルモットは精神的に繊細な個体も多いため、過度な検査は負担が大きいと考え中止しました。
 その代わり、毛を抜いて毛根周囲に感染の原因が無いかなど刺激の少ない検査で原因を探りました。しかし、脱毛の原因は発見できませんでした。

 今回、限定的な検査では脱毛の原因は発見できませんでしたが、強い掻痒と脱毛という臨床症状と同居動物への影響から考察して、外部寄生虫感染症の可能性が高いと判断して治療を進めました。
 このように症状の原因が明らかでない場合に、特定の疾患を想定して治療を行うことを診断的治療と言います。

 治療は、セラメクチンを背中に滴下、これを2週間に1回、3回繰り返しました。
 1回の滴下で掻痒がかなり落ち着いたため、感染が原因であり治療が有効であると実感できました。2か月経過するとかなり発毛も進みました。 治療効果があることから、外部寄生虫が原因である可能性が高いと言えます。

Osumi

Osumi

 症状などから疥癬である可能性は高いため、今後疥癬に再度感染しないように、ケージのこまめな清掃を行うことによる衛生管理の徹底が重要です。また、感染性が強いため同居のモルモットも治療、予防が大切です。
 現在、同居のモルモットさんも皮膚の状態が悪かったため同様の治療をしていますが、少しずつ良くなってきています。

 一連の検査を行い確定診断を行うことは重要ですが、動物の安全やストレスを考えて可能な検査だけ行い、考察して治療を進めていくこともとても大切ですね。