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Osumi

2023年5月31日

文鳥のお尻の腫れ

ご来院された動物さん

文鳥
2歳 メス
最近は産卵・発情は無い

ご来院の理由

「お尻の穴から出血があった、腫れている」

病院で見られた症状:

  • 総排泄腔が脱出している
Osumi

鳥は哺乳類の腸の構造と少し異なり、便と尿が排泄前に一緒になる「総排泄腔」と呼ばれるスペースがお尻の穴の手前にあります。
それに合わせて、お尻の穴のことを「総排泄孔」と呼びます。

Osumi

総排泄腔に見られる脱出は、

  • 総排泄腔や卵管が反転して、とび出る。(特に産卵や発情時に多発)
  • 総排泄腔や卵管で腫瘍が生じて、とび出る。

などが考えられます。 今回のケースでは発情や産卵が認められなかったため、どちらも考慮する必要がありました。

X線検査(レントゲン検査)では産卵は認められませんでした。

病変は洗浄した後に、針を刺して中の細胞を採材し顕微鏡で確認する検査(針吸引試験・FNA)を行いました。
その場で実施した顕微鏡検査では特に怪しい細胞は認められませんでしたが、腫瘍だった場合に今後の病態に関わるため、念のために専門の検査機関に提出しました。

針吸引試験を行うと組織から一時的に出血しますが、針で一刺しするものなので一般的には止血を行うことによりすぐに止めることができます。
脱出部位は総排泄腔内に戻し、総排泄孔が排泄できるように余裕を与えて1糸で縫合しました。

Osumi

総排泄孔を縫合処置後は、排泄がしっかりできているかが特に重要です。飼い主様と連絡をとりながら管理し、排泄ができていなければすぐに抜糸の検討も必要になります。

今回の症例ではしっかりとした排泄ができており、縫合の影響はありませんでした。元気も食欲もあり、糸を気にすることなく数日過ごすことができました。
数日後に抜糸し、その後は再脱出することはありませんでした。

1週間して検査機関から病理診断が返ってきました。
「激しい炎症や感染、直ちに悪性腫瘍を示唆する細胞の出現は認められない」とされており、突発的な総排泄腔の脱出だった可能性が考えられます。

Osumi

今回のケースは、病態と病理検査結果から総排泄腔の内腔が反転した「総排泄腔脱」である可能性が高いと考えています。これはメスの発情中、特に産卵後に多発するとされています。

この文鳥さんは、産卵も発情も認められないというお話でした。総排泄腔脱は必ずしも発情時に発生するというわけではありませんが、症状と病理検査など総合的に判断して診断しています。
また、発情の判断は鳥によって難しい場合もあります。より発情兆候が強まると再燃する可能性が高まるので発情抑制についてご指導させていただき経過を観察しています。

鳥さんを飼われている方(特にメスで、産卵や発情が多い鳥さん)は、注意してお尻を観察してあげてください。今回の症状も、発情抑制がとても大切な予防になります。