2023年6月12日
モルモットの喉のしこり
モルモット
4か月 メス
「首のところにふくらみがある」
「1週間前は無かった」
病院で見られた症状:
- 咽頭腹側の腫れ( )
1cm程度
(麻酔下での撮影)
外見上で皮膚にしこりがあるとわかる病変を「体表腫瘤」と言います。
同じ体表腫瘤でも、「しこりに何がつまっているのか」により腫瘍性か非腫瘍性か、非腫瘍性の中でもさらに膿瘍や水疱などさらに細かく分類され、病気の原因や治療が変わってきます。
モルモットの体表腫瘤は、腫瘍性と非腫瘍性のどちらも見られますが、若齢での腫瘍性は比較的少なく、この子のように1週間で大きくなるしこりは非腫瘍性の可能性が高いと言えます。
しっかりと原因を調べるため、針を刺して中の細胞を採材し顕微鏡で確認する検査(針吸引試験・FNA)を行いました。
検査では血液と膿が採取され、顕微鏡下では多数のリンパ球と好中球が確認できました。
経過と病理検査結果から、頸部リンパ節炎と診断しました。
頸部のリンパ節への感染で生じる膿瘍であり、膿瘍壁ごと切除することが理想とされています。そこで、感染したリンパ節と膿瘍の外科的切除を行いました。
縫合
手術時はまだ若く大変でしたが、モルモットちゃんも頑張ってくれたので術後の経過は良好です。
若いので皮膚再生はとてもスムーズで、発毛も進み、術創はほとんどわからなくなりました。
モルモットの体表腫瘤に膿瘍が現れることは度々あります。
発症部位も顔や胴体の様々な場所に生じ、その原因は外傷や歯科疾患による感染とされています。
今回のような頸部リンパ節炎は、免疫機関である頸部のリンパ節に感染が生じて膿瘍を形成したことによるものです。悪化すると、自潰(破裂)したり細菌が全身に広がり敗血症を引き起こし死亡するリスクもあります。
最初にお話ししたように、体表腫瘤は腫瘍の可能性もあります。
首に限らず体表腫瘤がある時は、検査による診断と治療方針の決定が大切です。気になることがあれば、まずご相談ください。
頑張ってくれたモルモットちゃん
元気に成長を続けてくれています。
膿瘍を含むリンパ節の切除