2023年9月6日
ハリネズミの口腔内腫瘤
ハリネズミ
4歳 メス
「口が腫れている」
病院で見られた症状:
- 口腔内の腫瘤
- 口唇の腫れ
2週間前から口の中が少しいつもと違う様子という主訴でご来院されました。
ハリネズミは、エキゾチックアニマルの中でもとりわけ体表の触診は難しく、特に口の中のしっかりとした確認となると短時間でも麻酔をかける必要性があります。
今回も麻酔をかけた上で口腔内を確認させていただきました。
口の中には1cm程度の腫瘤があり、強く充血しています。
目視で見たところ、腫瘤は歯肉からキノコ状に形成されており、結紮と熱凝固を行うことで取り切る方法を計画して、切除手術を行いました。
手術は終わり、無事に腫瘤を取り切ることができました。出血は少なく、病変に近い組織はできるだけ取り除くことができました。
切除した腫瘤を病理検査に提出したところ、「炎症性ポリープ」という結果が返ってきました。
大きな炎症病変がキノコ状に形成されていたということです。腫瘍ではなかったので少し安心しました。
出血や炎症の再燃が無いように経過を観察しています。
本人は術後から元気も食欲もあるとのことで経過は順調です。
ハリネズミも口腔内に腫瘤が発生することがあり、腫瘍も多く報告があります。中には完全切除が難しい場合もあります。切除が難しい腫瘍はレーザーを照射して熱で焼きますが、完全には抑えられずにまた徐々に大きくなってくる場合が多いです。
ハリネズミを飼われている方も、口の中の異常は気づきにくいこともあります。今回は腫瘍ではなかったので幸いでしたが、性格が繊細なハリネズミも飼い主には気を許している子もいるので、たまにお口を見てあげてください。
頑張ってくれたハリネズミちゃん
手術後からすぐに食欲回復したとのことで安心しました