Osumi

2023年10月4日

頬の広い皮膚炎

ご来院された動物さん

ゴールデンレトリバー
2歳 避妊済み メス

ご来院の理由

「両方の頬が荒れている」

病院で見られた症状:

  • 左右の頬の腫れと出血、脱毛

Osumi

Osumi

両頬の皮膚には強い炎症が認められ浸出液の分泌と出血を伴い、本人もかなり痛そうです。
外部寄生虫による感染は疑われず、細菌感染だけが認められました。外傷や自傷行為で皮膚が破綻して細菌感染が進行してしまった可能性が高いと考えました。
炎症は皮膚の深い部分まで及んでおり、長期的な消毒と抗生剤投与、衛生管理の徹底が必要です。

飼い主様のお話によると、同居の犬同士のスキンシップが激しく、特にこのゴールデンレトリバーさんは頬ばかり強く舐められるとのことでした。
その刺激が発端となり、自身でも痒みが増し炎症は広がり重度になってしまったようです。

このような、痛みや痒みを伴う局所的な感染部位を執拗に自傷することで発生する皮膚病は化膿性外傷性毛包炎・せつ腫症と呼ばれます。ゴールデンレトリバーやセントバーナードなど大型犬での罹患率が高いとされています。

治療で重要なのは、消毒の徹底自傷の回避です。

初診から2週間にわたり、消毒に通っていただきました。
通院できない日は、洗浄液をお渡ししてご自宅で洗浄していただくようにしました。 また、この間は抗生剤をしっかりと服用していただきました。
再度頬を舐められないように他の犬と隔離してもらいました。自傷がひどい場合、本人の性格を見てエリザベスカラーの着用もお勧めしました。

Osumi

Osumi

皮膚炎の面積もかなり小さくなり、発毛も進んできました!
本人の痛みや痒みも無いようです。

今回の化膿性外傷性毛包炎・せつ腫症は、同居の犬のスキンシップを発端に発症し、化膿と痒みが増大し収まらなくなってしまったものになります。 お話をお聞きすると、今回のこの症状はこれが初めてではなく、以前にも似たような症状になったことがあるということでした。

同居の犬同士の仲の良さが引き金になり発症してしまったということもありますし、この病気は皮膚の深部まで感染が及んでいることもあるため完治していないと痒みが再燃して同じ症状になるケースもあります。
今後も再発しないように注意して経過を観察していく必要がありますね。